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仕事観第一話 50歳、まだ半分──寿命がお金で買える時代の、時間の観

仕事観第1話 50歳まだ半分 記事アイキャッチ

  

 仕事「術」の本は世に溢れています。ここに書くのは「観」の方です。長年、キーエンスの現場で観察と思考を積み重ねてきたなかで、正しいと感じてきた感覚が、50歳を過ぎて、実感として言葉になってきました。6回に分けて、その言葉を置いていきます。

 100年生きるとしたら、50歳はやっと半分。医療と再生医療の進歩で、寿命はある程度お金で買えるようになりつつあります。もう半分をどう積むかは、今、切実に考えるべき問題です。時間の観を整理する第1回。

みなさん、こんにちは。Vertysの山本です。 

今回から、「仕事観」シリーズを始めます。仕事術ではありません。長年、現場の観察と思考のなかで、正しいと感じ続けてきたものが、50歳を過ぎて、実感として言葉になってきました。その言葉を、6回に分けて置いていきます。 

100年生きるとしたら、50歳はやっと半分 


日本の平均寿命は男性81歳台、女性87歳台。ここに、健康寿命の延伸と、再生医療の実装がじわじわ重なってきています。がんの死亡率は下がり続け、iPS由来の細胞治療は限定領域でヒトへの適用が始まっている。私は医師ではないので技術評価はしません。ただ、時間軸を設計する立場では、こう受け止めています。 

寿命は、ある程度、お金で買えるようになる。

これは怖いことです。医療アクセスの格差が、そのまま寿命の格差になる時代に、私たちは足を踏み入れつつある。倫理的に肯定しづらいけれど、流れは止まりません。だから、50歳の時間感覚を、この前提の上で組み直しておく必要があります。 

100年生きるなら、50歳はやっと半分。残り50年です。しかも、その相当部分が健康寿命として使える可能性が、以前よりずっと高い。「もう50だ」ではなく「まだ50年ある」の方が、現実に近い。**50歳以降の後半を、どう積むか**——これは、今、切実に考えるべき問題です。 

単純記憶力は落ちる。ただし、記憶の定着経路が違う 


「昔のように覚えられない」という感覚は、事実の一部です。意味の分からない数字を短時間で覚え込む力——単純記憶力——は、20代がピークで以降は緩やかに落ちる。ここは、認知心理学のあちこちの研究が一致しています。 

ただし、大人の記憶は、この経路だけで成り立っているわけではありません。もう一つの経路があります。 

因果で結ばれ、腹落ちした瞬間に定着する記憶。

新しい情報を、これまで蓄積してきた文脈と結び、「あれと同じ構造だ」と腹落ちさせる。腹落ちした瞬間、記憶になる。この経路は、40代・50代の方が、確実に速い。結ぶ先の文脈が、圧倒的に増えているからです。 

だから、学ぶ速度は落ちていません。単純記憶で測ると落ちて見えるだけで、因果を結ぶ速さで測れば、むしろ上がっている。この経路を静かに信じ直すことが、後半の50年を積む最初の踏み台になります。 

「本当の意味で」右肩上がりか 


もう一つ、時々、自分に聞いておきたい問いがあります。 

私のグラフは、本当の意味で、右肩上がりになっているか。

給料や肩書きだけではなく、使える語彙、耐えられる複雑さ、判断できる奥行き——中身のグラフの話です。外側のグラフだけで安心していると、中身の停滞に気づけません。中身が止まれば、外側は5年遅れで必ず頭打ちになる。順序はいつもそうです。 

急がなくていい。少しずつでいい。ただし、途切れさせない。傾きよりも、線の途切れなさが、後半の質を決めます。 

今日のまとめ 


  • 100年生きるなら、50歳はまだ半分。寿命はお金で買える時代に入りつつある 
  • 単純記憶力は落ちても、因果で腹落ちする記憶の定着は、40〜50代の方が速い 
  • 中身のグラフが、本当の意味で右肩上がりかを問う 
  • 急がず、しかし、途切れさせない 

次回は、この後半を積むために避けて通れない話をします。

「非を認める」の本当の難しさ。 

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