数少ないデータサイエンスの知識と、製造プロセス両方の知識を持つエンジニアを探せ! Diary#02
みなさん、こんにちは。Vertysの山本です。
前回、「製造業向けのデータサイエンティストは一人もいない」という少々過激な話をしました。
今回は、SFIを作るにあたって直面した「仲間探し」の苦労話です。
どちらかに偏る問題
製造業向けのデータ解析ツールを作ろう! と決意したはいいものの、すぐに壁にぶつかりました。
開発のパートナーとなるお客様、つまり「データサイエンスの知識」と「製造プロセスの知識」の両方を持っている方を見つけなければいけない。
でもこれが、びっくりするほど見つからない。
データ分析に詳しい人は、製造プロセスを知らない。
製造プロセスに詳しい人は、データ分析を知らない。
……まあ、そりゃそうですよね。 それぞれ別の専門分野なんですから。
サイロ化した組織と人材
これはデータ解析に限った話ではなく、日本の製造業全体の構造的な問題でもあります。
品質管理は品質管理部門、設備保全は保全部門、ITはIT部門。
組織がきれいに縦割りになっていて、横串を刺せる人材がなかなかいない。
いわゆる「サイロ化」というやつです。
製造業のデータ解析に必要な知識って、どれだけあるの?
ここで、ちょっとリストアップしてみましょう。
製造業でちゃんとしたデータ解析をしようと思ったら、こんな知識が必要です。
【ドメイン知識】
- 📦 製品の理解 — 何を作っているのか、品質基準は何か
- ⚙️ 製造プロセスの理解 — どういう工程で、どこにボトルネックがあるか
- 🏭 生産設備の理解 — どんな設備が動いていて、どういう制御をしているか
【さらに踏み込んだ技術知識】
- 制御機器(PLC、シーケンサ)
- PC・メカトロニクス
- センシング技術
- 通信プロトコル
- アナログ回路
- 振動解析(FFTなど)
【データ基盤の知識】
- データ生成手法(どうやってデータを作るか)
- ITインフラ(ハード) — サーバー、ネットワーク
- ITインフラ(ソフト) — OS、ミドルウェア
- セキュリティ
- RDB(リレーショナルデータベース)
【分析・解析の知識】
- 統計学
- 機械学習
- 品質工学(タグチメソッドなど)
- 生産管理
- Pythonなどのコーディング
もっとあります…が書ききれません。
多すぎませんか?
ひとりの人間には無理
こうやって書き出してみると、一目瞭然です。
こんなの、ひとりの人間でカバーできるわけがない。
普通に考えれば、受託開発で専門家チームを組んで、分業体制で進めることになります。
実際、そういうアプローチを取っている企業も多い。
でも、受託開発は高い。そして時間もかかる。しかもカスタム開発だから、他のお客様には転用できない。
標準品を企画しよう!
だったら、誰でも使える「標準品」を作ればいいんじゃないか。
製造業の現場に共通する分析ニーズを汎用化して、ワンパッケージにまとめる。
個別のカスタマイズなしに、現場の人がすぐに使えるツール。
そういう製品企画ができないかと考え始めました。
もしかして、自分が一番適任かも?
そこでハタと気づいたんです。
この「標準品」を企画できる人間って、実はかなり限られているのでは?
そして、もしかして……自分が一番適任なんじゃないか?と。
だって、FA市場の現場に30年います。
センサーから制御機器、PLCからネットワーク、データ収集から可視化まで、一通り経験してきた。
しかも、営業マンとしては正直、まあ、そこそこです(笑)。
数字を追いかけるよりも、お客様の技術課題に首を突っ込んで、「これ面白いですね!」「こういう分析できませんかね?」と、余計なことばかりに興味が湧くタイプだったんです。
でも、その「余計なこと」への好奇心が、結果的に幅広い知識と現場感覚につながった。
製品を知っている。工程を知っている。設備を知っている。
データの生まれ方を知っている。
そして、現場の人が何に困っているかを知っている。
佐藤社長との出会い
ただ、さすがにひとりでは心もとない。
そんなとき、心強いパートナーを得ることができました。
株式会社エヌエスアイの佐藤社長です。
佐藤社長とは10年以上のお付き合い。
ITとFA、両方の知見をハイレベルで持つ稀有な人物です。
構想と要件定義を一緒に練り上げるパートナーとして、これ以上の人はいない。
「こういうツールがあったら、現場は助かるよね」
「でもここは、こうしないと実運用に耐えないよ」
そんな議論を、何度も何度も重ねていきました。
次回は、実際にデータ解析のどこに時間がかかっていて、何が障壁になっているのか。もう少し具体的に掘り下げてみたいと思います。
この記事へのコメントはありません。